2012年7月1日日曜日

未知の日本美  「長艸敏明の刺繍」 初作品写真集

長艸敏明 (ながくさとしあき)さんの、日本刺繍の初作品写真集がついに出ました!!!

  長艸さんの展覧会を、以前に銀座のミキモトホールと、青山の草月会館に見に行ったことがあり、素晴らしい作品を目の当りにして感動しました。色々な記事で以前から作品を取り上げられて存じ上げていましたが、実物を見る機会はなかなかありませんでした。
日本刺繍は出来上がるまでに非常に時間がかかるので、個人作家や一つの工房がまとめて新しく作品を発表するには、何年もの時間がかかります。ミキモトホールで発表したのが1992年、草月会館での発表が2000年でした。
  ですから、長艸さんの作品を網羅して本で見ることができるのは、本当に嬉しいです。

長艸さんは、京縫(きょうぬい)を手がけ、能装束、着物、室内装飾品などでジャンルにとらわれずに自由に刺繍作品を制作していらっしゃいます。バリでの個展やパリコレクション協力など、世界的にも活躍し、日本の文化財復元、修復作業にも携わっています。

 長艸さんのこの本の紹介は私が何を書くよりも、本の中の次の一節が全てを表わしていると思いますので、引用させて頂きます。

「京縫(きょうぬい)の伝統工芸士、長艸敏明。
京都の町やに構えた工房で、和の美 の神髄を探りつつ、伝統工芸の枠にとらわれない斬新な色やデザインで刺繍した衣装や美術工芸品を作り続ける。
本書に掲載するのは、工房全体を監督しながら、 長艸自ら針を持ち丁寧に刺繍したもの。
気が遠くなるような作業の末に完成した、珠玉の作品たちだ。
未知の日本美が、ここにある。」


紀伊國屋BookWebの本のリンク
Amazonの本のリンク

「長艸敏明の刺繍」本表紙、(写真出典 紀伊國屋BookWeb)

ボストン美術館 日本美術の至宝

東京国立博物館・平成館にて開催され、6月10日で終了したボストン美術館を見てきました。
かなり遅いコメントですが、少し書かせて頂きます。

全ての作品が超一級品で、ここまでの国宝級の日本美術作品をもう一度実際に見たいと思ったらアメリカのボストンに見に行かなければならないのか、と思いながらしっかり見てきました。

等伯、光琳、蕭白の屏風絵、その他の工芸品は言うに及ばず、初めて見て一番感動したのは奈良時代8世紀に描かれた「法華堂根本曼荼羅図」でした。仏教画を見て初めて美しいと感じましたが、構図や色がどうこうではなく、絵全体から滲みでる気品を美しいと感じました。
本当に日本の至宝を手放してしまったのだなぁ、と感じます。

法華堂根本曼荼羅図 (出典:展覧会ホームページ写真)
ショップで、欲しかった仏画のハンコを買ってきました。右から二番目の仏様が、一番気に入った法華堂根本曼荼羅図の仏様をかたどったハンコです。
仏画ハンコ

単純な中にある奥深さ 「福田平八郎と日本画モダン」

2012年5月26日(土)~7月22日(日) 山種美術館

大正から昭和の日本画家たちは、油絵と互角以上の日本画の表現を目指して、顕微鏡で見るような細密描写、陰影表現を目指しましたが、その後単純な色面の表現を志向するようになりました。
福田平八郎は、その「モダンな日本画」と呼ばれるスタイルを持つ代表の作家です。

この展覧会では、現在のデザインにも通じる簡潔かつ奥深い味わいの表現を楽しんできました。
細密描写から簡潔な表現になりましたが、簡潔であればあるほど計算されて構成され、複雑な色が塗り合わされています。長く深い観察と、描写する時間に費やした作品の厚みが素晴らしいです。最初から簡単に描いているのではなく、細かさを突き詰めた結果のシンプルさは、奥深いものを感じます。

以前、超絶細密技巧の工芸作家須田悦弘氏が、「限界まで突き詰めた細密表現の仕事の後に、次の新しい表現が見えてくると思っています。ですから徹底的な細密表現の超絶技巧を突き詰めています」という趣旨のことをおっしゃっていましたが、それに通じるものを感じました。

山種美術館ホームページ  http://www.yamatane-museum.jp/

出典: 山種美術館・福田平八郎 展覧会ホームページ

圧巻!! スイスの絵本画家「クライスドルフの世界」展覧会

圧巻でした!! 
現代の多色刷りの絵本の黄金時代を築いたヨーロッパの絵本作家クライドルフの作品点が、
2012年6月19日(火)~7月29日(日) 東京渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されています。


クライドルフの作品は細密水彩画で、花や小さい生き物、妖精などの登場人物がリアルに、しかし絵本の詩情にぴったりと描かれています。
220点の作品が展示されており、これだけの作品を日本で見ることのできる初めての作品展です。絵本原画だけでなく、水彩画も油絵も展示されています。絵本というジャンルにとらわれず、見ていただきたい作品展です。

会場で売られている図録は内容も装丁も素晴らしく、透明なカバーにも絵本の登場人物が印刷されていて、図録そのものが素晴らしい絵本のような作品です。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_kreidolf.html