2013年12月21日土曜日

東急渋谷店文化村「Bunkamura winter craft collection 2013」に出品しています!

東急渋谷店・文化村で毎年二回開催されている「Bunkamura winter craft collection 2013
ではクリスマスからお正月に向けたシーズンに、日本全国の多数のクラフト作家が出品・展示販売会をしています。木工、ガラス、陶磁、布、金属など、自然素材などの楽しいプレゼントにできるクラフト作品が出品されています。

星工房も12/22(日)~12/25(水)の期間出品させて頂きます。日本刺繍をあしらった香り巾着、ペンダント、桐小箱、帯留などの沢山の小作品を、展示販売をしています。和風の小物のプレゼント、またはご自分でお使い頂ける作品をそろえています。

よろしければ、お立ち寄りください。
Bunkamura winter Collectionポスターを掲載

2013年10月20日日曜日

浮世絵を日本刺繍で模繍 - 上村松園

 上村松園(1875~1949)の代表作の一つ「雪月花」を日本刺繍で模繍していきます。貞明皇后の御用命を受けて以降、完成まで実に20年以上を要した力作です。

松園の渾身の作品であり、構図の一つ一つ、舞い散る花びら一つ一つまでも足すものも削るものも無い完璧な作品であり、それをできるだけ忠実に再現したいと思います。

  私が以前日本刺繍・紅会に在籍していた時に、私が依頼して「雪月花」の花を制作させてもらい、2010年の紅会の全国展にも出品しましたが、あらためて三部作を作り直したいと思います。

現在は宮内庁に収蔵されており、松園の展覧会では時々見ることができます。


            上村松園作 「雪月花」 左から「花」「月」「雪」

絵画、浮世絵を日本刺繍で模繍する際の著作権について

  浮世絵などの絵画の模写をするにあたって著作権、二次著作権の勉強をしたのですが、著作権のセミナーに参加する機会がありましたので、まとめてみました。セミナーでは、法律や裁判の判例などを交えて素人にもわかり易く説明して頂きました。以下は法律には素人の私が理解した内容ですので、法律上の判断は必ず著作権、知的財産権の専門の方にご確認ください。

  • 日本の法律では、絵画は著作権保有者の死後50年で著作権は消滅しますので、そうした絵画を日本刺繍で模写しても著作権の問題は発生しません。
  • 模写は新たな創作的表現が加えられたと客観的に認められない場合には,元の絵画に増減,変更等を加えても原画の単なる複製物であって、新たな著作物(二次著作物)にはならず、二次著作権は発生しません。

 日本刺繍で絵画は模写する場合、刺繍では下絵も含めて若干表現を変えざるを得なかったり、線の数を変更する必要がありますが、そうした細かな変更は新たな芸術的創作ではないので、二次著作ではない単なる模写になります。

 ですので著作権の消滅した絵画等を模写した刺繍作品を制作することに著作権の問題はありません。また、他の方が模写した作品が存在したとしても、同じ作品を模写しても二次著作権を侵害したことにはなりません。逆に他の方が私と同じ作品を模写てしも同じように二次著作権の問題にはなりません。


 作品制作では著作権は注意しなければならない大事な点ですので、しっかりと勉強しないとなりませんね。

浮世絵を日本刺繍で模繍 鈴木春信「めだか掬い」

 この一つ前のブログでご紹介しました同じく鈴木春信の「めだか掬い」を図案にしました。
これも日本刺繍で浮世絵を模繍します。

夏の小川で二人の娘が小魚取りに興じているという浮世絵で、涼やかな中に活発な楽しさのある作品です。たぶんそれほど有名な大作ではないのですが、絵柄が可愛らしく、夏らしく微笑ましい様子がとても気に入って、直観的に縫ってみたいと思った作品です。

明和4,5年(1767,1768年)頃の作品で、現在はシカゴ美術館など海外の数か所に所蔵されています。


鈴木春信「めだか掬い」 (1767~1768年作)

「めだか掬い」を模繍するための図案を作成しました

浮世絵を日本刺繍で模繍 鈴木春信「夜の梅」

 前からあたためていた浮世絵や絵画を日本刺繍で表現するアイデアを、あらためて制作し始めました。2008年に上村松園の雪月花の制作を始めたのですが、鈴木春信の2作品もあわせて制作することにしました。

 美人の浮世絵で有名な、江戸時代の浮世絵師鈴木春信の代表作「夜の梅」を図案にしました。これを日本刺繍作品として制作していきます。

鈴木春信は他の浮世絵作家と同じように謎が多い作家ですが、初作品が宝暦10年(1760年)に発表され、明和7年(1770年)まで活躍したと考えられています。

バックが黒一色の美しさと、黒の中に白梅と乙女の手灯りの対比がある、というシンプルに削ぎ落とした構図の美しさに惹かれて選んだ作品です。2002年に千葉市美術館で開催された「青春の浮世絵師 鈴木春信 - 江戸のカラリスト登場」という美術展で展示され、心に残った作品でした。明和3年(1766年)頃の作品で、現在はメトロポリタン美術館に収蔵されています。

鈴木春信 「夜の梅」 (1760年作)

「夜の梅」 模写図案 星美幸


釜糸を傷めずに運ぶための一工夫


釜糸を美しく保管する方法の続編です。

 日本刺繍を学ぶ生徒さんが、教室に行くときに何本か釜糸を箱に入れて運ぶと思います。
その時に、せっかく上下には動かなくなっても、箱一杯に釜糸が入っていないと、左右に釜糸が転がって動いてしまい、どうしても絹糸の表面がこすれて傷んでしまいます。

そんな事にならないように、絹糸を傷めずに運ぶための簡単な一工夫をご紹介します。


  1. 工作紙、ケント紙などの厚めの紙を一枚用意しします。
  2. 下の図①のように箱の高さが17mmだとしたら、箱の長さ + 30mmにカットして準備します。
  3. 釜糸を固定したい場所に15mm幅の折り目を3本つけます。
  4. 折り目にそって、15mmの高さの折り目を作ります。
     (箱の高さが17mmだとすると2mm程度の遊びができます。折り目の高さが高いと蓋が
    閉まりません。)
  5. できあがった厚紙を釜糸の箱に入れれば、これで完成です。もう釜糸は動きません。



釜糸が増えてきたら、下に引いた台紙を短くカットして、ちょうど良い長さにします。
(上の図では台紙の左側をカットします。)

釜糸の箱は、こうして運ぶのも便利な道具になります。










2013年10月19日土曜日

日本刺繍釜糸 色見本帳

 星美幸・日本刺繍教室で使っている釜糸は、全て写真に写された見本帳の釜糸です。
見本帳は、見ているだけでもとても綺麗ですよね。

色見本帳を広げた写真
  日本刺繍をされている方は、この見本帳をご存知の方もいらっしゃると思います。手作りホビー材料の大型専門店「ユザワヤ」の一部店舗や、ユザワヤのオンラインショップでも簡単に購入することができます。価格は4,725円(税込、送料別)です。1色ごとに色番号が書かれた400色もの釜糸が、実際に巻かれて、折りたたみ式のブック形式になっています。上の写真は、それを広げた様子です。

 私がグラフィック・デザインの仕事をしていた時は、デザイン、印刷の仕事で色を指定する時には必ず使われる「DICカラーガイド」という654色の色見本を使用していました。印刷では多くの色の種類が出せるでしょうけれど、絹糸で400色もの色の種類を揃えているのは凄いです。

 釜糸の注文は色番号でしますので、簡単で、糸問屋さんが販売しているからでしょうか、400色もの種類がありますが、在庫がきれたことがありません。1番から320番までは同系色に分類されて、321番から400番までは微妙なニュアンスの色が揃っています。
 糸屋さんと糸問屋さんが専門の仕事として、長い年月かけて作り上げた集大成というところでしょうか。

 近代絵画を日本刺繍で模写する場合や、図案にグラデーションをかける場合がありますが、そうした時には微妙な色の差を出すために、400もの色数があるのは本当に助かります。

 刺繍教室の生徒さんは、実際にこの見本帳を見ると、400色もの絹糸の光沢の美しさに驚かれます。見ているだけで飽きないと、おっしゃる方もいます。教室では、見本帳の購入を希望される生徒さんには、糸問屋さんから購入してお渡ししています。松戸馬橋教室には、この見本帳だけでなく、400色の釜糸を紙管に巻いて、分類された色見本釜糸があります。

色選びの際は、直接絹地にその釜糸を置いて、生徒さんと話し合いながら色を決めていきます。この色選びという作業は、時間はかかりますが、日本刺繍の制作過程の中では、重要で、そして、楽しいひとときだと思います。

2013年9月29日日曜日

日本刺繍1日 ワークショップ

これまで、多くの方々に日本刺繍1日ワークショップへご参加いただきました。

 作品もいろいろな種類を制作してきました。仕上がった作品をちりめん台紙に貼って、そのまま飾れるようにした小作品の「桜川」。「梅」や「桜」の刺繍をケースに入れて仕上げたキーホルダーやキーリング。そして、「光琳椿」「南天」「桜」の刺繍をほどこした日本刺繍桐小箱などです。

 同じ作品の同じ模様でも、それぞれに好きな色の釜糸を選んでいただいていますので、仕上がった作品はまったく雰囲気が違います。どの作品も、参加された皆さんが丁寧に作られているのが印象的でした。愛用していただいていると、とても嬉しいです。

 今回、ご紹介する作品は、2013年3月のワークショップから作品として制作して頂いている日本手刺繍桐小箱です。
下の写真は9月のワークショップに参加された方の「光琳椿」です。花は優しいピンク色に、葉は緑系から離れて少し個性的な色合いを選ばれました。素敵な作品になりました。
 ワークショップに参加された方の日本刺繍を、星工房で仕上げ、加工したものです。

仕上がった本手刺繍桐小箱
(刺繍は参加者、仕上げ、加工は星工房)

蓋をかぶせた写真


ワークショップ参加者の刺繍

 1日ワークショップでは、刺繍だけしていただきますので、仕上げと加工は星工
房で行います。使っている桐小箱は、上の写真のような蓋の側面に刳り(くり)という手をかけるための加工がされた「総かぶせ蓋」の桐箱です。これは蓋が身よりも大きいので、開け閉めしやすく使いやすい桐箱です。

 桐箱には色々な種類があります。例えば下記の写真にあるような「箱の内側に出ている突っ張りに蓋がピッタリとはまる印籠箱」や「蓋の裏側に二本の桟を付けた二方桟蓋 (ニホウサンブタ)」がありますが、高級感のある「総かぶせ蓋」の桐箱を使っています。

印籠箱           二方桟蓋の箱

今まで教室の生徒さんも、ご希望の方はキーホルダーやキーリングを作ってきました。この日本刺繍桐小箱も、ワークショップの参加者の方々に好評ですので、教室の講習でも作ってみたいと思います。



2013年9月16日月曜日

楽しくてきれいなお細工物

法事の用事があって、久しぶりに仏具店に行きました。店内を見ていると、ショーケースの上に和菓子が並んでいました。「仏具店で和菓子?」と思いましたが、お供え用としてのお菓子かなとも思い、近づいてみると「ちりめん」で作ったお細工物でした。

食べ物を供えることができない場所や、あるいは時に、お供え用として使うらしいのですが、これが良くできていて、また、可愛らしいのです。

いろいろ種類がありましたが、「柏餅」「桜餅」練り切りの「花しだれ」の3点を買いました。

「柏餅」は餅のポッテリした感じと、厚みのある柏の葉の感じがよくでています。
「桜餅」は桜の葉のフチのギザギザも、丁寧に表現されていて、「花しだれ」は、羊羹に包まれた「あんこ」の感じが絶妙です。「お香」が餅やあんこの部分に入っているので、ケースを開けると、良い香りがします。

小さな模様を日本刺繍で刺繍をして、お細工物を作るのも楽しいと思います。ちりめん細工のお細工物の本を見ていると、いろいろなアイデアが浮かびます。身近なかわいい作品もこれからたくさん作りたいと思います。

パッケージに入っている様子

お皿に載せてみました





2013年9月15日日曜日

天上の舞、飛天の美

以前、ブログで平等院鳳凰堂の修理について書きました。CGによる復元の話しが、主な内容でしたが、今回は、東京・サントリー美術館で1123日~2014113日まで開催される 平等院鳳凰堂  平成修理完成記念「天上の美  飛天の美」という展開会のご紹介です。

この展覧会は、様々な地域や様々な時代の、飛天の姿を彫刻・絵画・工芸の作品を見せるそうです。平等院鳳凰堂内の国宝「雲中供養菩薩像」や国宝「阿弥陀如来坐像光背飛天」をはじめ、平安時代のさまざまな飛天も展示されます。

平等院鳳凰堂の2014年3月末までの修理の期間、平等院鳳凰堂から出された国宝を近くで見ることができる貴重なチャンスです。

飛天は、その優雅な美しさから日本刺繍でも作品のモチーフになります。2004年に講談社から出版された「草乃しずか日本刺繍-源氏物語そして命の輝き」に美しい何点もの飛天が、掲載されています。残念ながら絶版になってしまった本なので図書館や古書で見ることができれば、と思います。

サントリー美術館ホームページより



2013年9月14日土曜日

ウンウンペンチウム

先日、8月末にニュースで「115番元素のウンウンペンチウムの存在が、確定しました。」と報道されていました。

「新元素の発見」というニュースでしたが、どちらかというと、そのネーミングのユニークさに焦点があたっているように思いました。115番元素は仮称なので、ラテン語とギリシャ語で数字を表しているだけです。「115のうち、1.1.がウンウン」で、ちなみに113番元素は「ウンウントリウム」になります。
あくまでも仮称なので、後日、正式名称が与えられます。

このニュースが、頭に引っかかったのは、東京エレクトロン(株)が、朝日新聞紙面に掲載した「元素周期表を作ろう」シリーズが、素晴らしかったからです。20124~8月に順次、118枚の元素カードが新聞に掲載されました。それを切り取って、一枚づつ表に貼ると周期表が完成します。

イラストも分かりやすくて、ユニークで、出来上がった元素周期表が美しいのです。この広告は、第61回朝日広告賞グランプリを受賞しました。201359日に完全版が、新聞見開き1ページの全面で、特別復活されたので保存していました。その元素周期表は、今、東京エレクトロン(株)でプレゼントしてもらえます。




東京エレクトロン・HPより


2013年8月31日土曜日

年に一度の訪問

見てください、このカマキリ !! 

写真のカマキリの3Dパズルに使われている紙は、一見するとプラスチック板に見えます。製図に使うテンプレートにそっくりです。でも、「ペーパーパズル」と商品名についているので、「やっぱり紙?」と見なおします。厚さが均一で、固く、机の上で叩くとしっかりした音が響きます。

この紙を、カッターでそれぞれの部品を丁寧に切り離して組み立てると、実物大の「カマキリ」が完成します。精巧なフィギュアのようです。この紙そのものも、出来上がった「カマキリ」も感動してしまいます。

我が家には年に一度のカマキリの訪問があります。年に一度立秋をすぎると何故か本物の「カマキリ」が我が家の玄関に一度だけ現れるのです。これもちょっと不思議なのですが、懐かしさもあって、この3Dペーパーパズルの「カマキリ」を組み立てたくなり、東急ハンズで購入しました。出来上がった「カマキリ」は玄関に飾ってあります。

2013年8月24日土曜日

薄くきらめく羽衣「フェアリー・フェザー」

  以前ブログで「合成クモ糸で織った生地で作られたドレス」のことをご紹介しましたが、今回は「羽衣のような絹地」の話しです。

 日本にはさまざまな絹織物があります。呉服産業や養蚕業の先細りが言われていますが、それでも日本刺繍にたずさわっていると、素晴らしい絹地に出会います。もちろん全てが日本刺繍に適しているわけではありませんが、絹地それ自体の美しさに変わりはありません。
福島県川俣町は江戸時代から養蚕と織物で有名な土地です。蚕は卵の時期にはある程度の湿度が必要ですが、育てるには風通しの良い土地が適しているので、山間部の盆地で町の中心部を広瀬川が流れる川俣町は、養蚕業の適地だったのでしょう。

 その川俣町で近年作られている絹織物が「フェアリー・フェザー」と呼ばれる、透明感の素晴らしい世界一薄い羽衣のような絹地です。「フェアリー・フェザー」の糸の太さは、髪の毛の1/6です。通常は1/2の太さですからかなり細い糸です。そしてさらに、その糸を「よりをかけない生の糸」の状態のままで織っていきます。しかし、その細さでは糸がとても切れやすいので、それを防ぐために糸を濡らして、糸が濡れたままの状態で織り機にかけます。織り機にかけてからも、織り上がるまでの全ての工程に、職人の技が加えられていきます。
 織り機が動くたびに、水滴が飛び散る様子は、ちょっと不思議な光景です。しかし、織りあがると「よりをかけない生の糸」は柔らかく、光沢と透明感のある絹地になります。世界のデザイナーが注目する日本製の「フェアリー・フェザー」が、現代の「天女の羽衣」になって欲しいと思います。

2013年8月13日火曜日

平安の極楽浄土 - 平等院鳳凰堂の復元後の姿は?

 京都府宇治市の世界遺産、平等院鳳凰堂(国宝)は昨年から修理が始まり、来年3月に終了、4月に公開予定になっています。修理で鳳凰堂は平安時代の色調で復元されます。柱全体は赤で、屋根瓦は黒で仕上げられて、屋根の上の鳳凰像には金箔が施されます。

 以前、平等院を訪ねたときに、ミュージアムショップで「CG写真集  平安色彩美への旅  よみがえる鳳凰堂の美」という本を購入しました。残念ながら一般には販売されておらず平等院のミュージアムショッブでしか買えない本なのですが、CGで復元され、鮮やかな色彩で彩られた御堂は、まさに極楽浄土の世界を思わせました。昔の人は、この建物の中に入って荘厳な美しさに打たれたのでしょう。

また、「雲中供養菩薩」の復元にあたっては、キリカネを以前このブログでご紹介した江里佐代子氏がキリカネ部分を担当しています。(以前の紹介記事はこちら→「截金を現代アートに甦らせた江里佐代子氏」)

以下の写真は「CG写真集  平安色彩美への旅  よみがえる鳳凰堂の美」からの一部引用です。
このCG制作は、NHKきんきメディアプラン、㈱さわの道元・鈴木志子氏が担当されたそうです。

天井をCGで復元した図

天井の修復前の写真

柱をCGで復元した図

柱の復元前の写真

復元された雲中供養菩薩












































 テジタル復元の技術も色彩の分析調査も年々進歩し続けています。退色してしまった絵画が、本来持っていた色彩を取り戻すとき、その美しさに圧倒されます。
  「日本の国宝、最初はこんな色だった」小林泰三著  光文社新書 (紀伊國屋の本の案内)(Amazonの本の案内)は、デジタル復元の楽しさや美しさを知る第一歩になる本であると思います。
小林氏はWowowで不定期に放送される「美術のゲノム」という番組でも美術品をCGで蘇えった様子を見せてくれています。



2013年8月11日日曜日

アクアマリンふくしま

 「アクアマリン ふくしま」は、福島県いわき市小名浜にある水族館です。東日本震災の被害を受けましたが、復旧工事が続けられ2011年7月15日に再オープンしました。
 この水族館には、金魚の展示があります。水族館ではめずらしいのではないでしょうか。

8月14日、15日にはアクアマリンふくしまで誕生した金魚の即売会もありますし、夕方からは金魚すくいも楽しめます。水族館は好きでいきますが、このアクアマリンふくしまも好きな水族館のひとつです。
また、開館当初からシーラカンスの調査「グリーンアイプロジェクト」も行っていて、「シーラカンスの世界」という常設展示もおもしろいです。写真はショップで購入したシーラカンスのガラス細工です。


大和郡山市箱本館・紺屋

 しのざき文化プラザで開催中の「金魚のアートガーデン」に協力しているお店のひとつに、「紺屋」があります。
「紺屋」は、奈良県大和郡山市紺屋町にある金魚グッズ・ミュージアムです。金魚があしらわれた美術工芸品から生活雑貨までバラエティに富んだ展覧会を見ることができます。
 金魚好きの私も行きました。

 奈良県大和郡山市は日本の金魚のふるさとです。中国から入ってきた金魚が、日本で養殖が始まったのが奈良県大和郡山市です。
 「全国金魚すくい選手権大会」も毎年夏に大和郡山で開催されますし、「大和郡山・金魚検定」もあります。金魚といえば、涼しい模様と組み合わせることが多いですが、江戸時代にはひな祭りの時、ひな壇に金魚も一緒に飾られていました。そんなデザインもこれから制作していきたいと思います。

金魚のアートガーデン

「しのざき文化プラザ 3F ギャラリー」で、10月14日(月)まで「金魚のアートガーデン」が開催中です。

都営新宿線「篠崎駅」直結なので、手軽に金魚を楽しめます。

 東京の金魚養殖地は、江戸時代には本所深川にありましたが、亀戸、大島、砂町へと町が近代化されるにしたがって移り、第二次大戦後は江戸川区が中心となりました。
昨今、江戸川区も都市化により他県へ移転しつつありますが、日本鑑賞魚フェアでも優秀な成績をあげて、伝統は今も息づいています。

 大きな展覧会ではありませんが、LEDの涼しい光で泳ぐ金魚は、やはり夏の代名詞です。
金魚すくいのイベントもあってのんびり楽しめます。

「金魚のアートガーデン」の案内はこちら

金魚のアートガーデン・ホームページより

金魚!、金魚!、金魚!

アートアクアリウム 2013  ~江戸・金魚の涼~

木村英智氏プロデュースの「アートアクアリウム」が今年の夏も開催中です。
六本木ヒルズでは「スカイアクアリウム」として、水中アートの展覧会が開催されましたが、今回の「アートアクアリウム」は昨夏と同じ「日本橋三井ホール」で開催されます。

アートアクアリウム2013・ホームページより


「金魚」をメインに、様々にデザインされた水槽に光と映像の最新演出技術が融合した「水中アート」の展覧会です。今、横浜や長崎ハウステンボスでも話題の「プロジェクションマッピング」も使われて、美しさと驚きの連続です。

私が「金魚」と「水」が大好きなので、毎年楽しみにしている展覧会です。しかし、混雑するので入場状況を確認されてからお出かけになる方が良いです。
19時からは「ナイト・アクアリウム」になります。音楽と照明が代わり、お酒のドリンクを片手に鑑賞を楽しめる空間になります。

「アートアクアリウム2013」のワームページはこちら

透明な美しい和紙、そして「水うちわ」

 「うちわ」文様は、形のおもしろさから日本刺繍でもよく使いますが、四季の模様と合わせると、さらに楽しく美しい文様になります。
 私の日本刺繍教室のカリキュラム作品でも「ちどり青海波」、「金魚とうず巻き文」「ほたると露草」等をうちわにデザインしていますが、どれも仕上がるとかわいい刺繍作品になります。
刺繍作品集はこちら  


 日本には多くの種類のうちわがありますが、その中でも「水うちわ」はうちわに使われている和紙がすばらしいです。和紙といえば楮 (コウゾ)を原料とする和紙が一般的です。コウゾは、日本全国に分布していて、栽培も簡単でさらに収穫量も多く、繊維もとりだしやすいという和紙原料に最適な植物だからです。

 しかし、「水うちわ」に使われている和紙は雁皮紙 (カ゜ンピシ)という和紙です。
雁皮紙は、写真のように「フィルム?」と思うほど向こう側が透けて見える透明感がありながら、虫がつきにくく丈夫です。
 すばらしい和紙ですが、紙をすくのに他の原料の3~4倍の時間と手間がかかり、高度な技術が必要です。さらに原料のガンピはやせ地に生息する植物で、畑などでの栽培に適さないため、野生の原料しか使えません。
 写真の水うちわは、美濃の手すき和紙工房「コルソヤード」の職人さんが作った「雁皮紙」を使っています。
 「水うちわ」は、日本の名工が作り出す普段使いの美しさです。
 (コルソヤードの案内はこちら)


2013年7月15日月曜日

釜糸を美しく保管する方法

日本刺繍で使う絹糸の刺繍糸は「釜糸 カマイト」と呼ばれます。
「釜糸」は繭から引いた絹糸に縒りをかけず、平糸のままの状態の絹糸です。
釜糸は日本刺繍の一番大事な材料ですが、釜糸を美しいまま保管する方法が、意外に知られていないかもしれしれません。今日はを釜糸の保管方法をご紹介します。

刺繍で使う時は必ず「紙管」に巻かれた状態の刺繍糸を使います。
日本刺繍教室の生徒さんには、釜糸を保管するときに次の三つのポイントに注意するように話します。

★ポイント1★ 紙箱で保管する
まず、第一に釜糸は必ず紙箱で保管しましょう。

プラスチックの箱は静電気で埃を引き寄せて、釜糸が汚くなりますので、教室の生徒さんにはプラスチックの箱は使わないようにしてもらっています。
プラスチックの箱は100円ショップでも買えますし、中身が見えて丈夫ではあるのですが、せっかくの絹糸が汚くなってしまっては、絹糸を綺麗に保管するという目的を果たしていません。


★ポイント2★二段三段に重ねない
釜糸を紙箱に入れる際は、重ねずに一段だけ入れるようにします。
ですから1段の釜糸だけが入る薄い紙箱を使用しましょう。

釜糸を高さのある箱の中で23段に重ねていると、使おうとする釜糸を探すときに、どうしても箱の中で紙管を転がしてしまいます。釜糸を転がすと、釜糸がこすれ合ってしまい汚くなってしまいます。

生徒さんには、このような紙箱があったら使ってくださいと、見本の紙箱を紹介しました。しかし、「お菓子の箱は、中身は欲しくないのに、箱だけの為に買うのもお金がかかります。」という声がありましたので、私の使っている紙箱を生徒さんにご紹介することにしました。

色は白なので釜糸の色もよく分かります。釜糸を色別に保管することはもちろん、作品ごとに保管できるので、とても便利です。

白い薄い紙箱に保管した例

市販商品の紙箱を使用して保管した例

★ポイント3★ビニールやセロファン紙で包まない
釜糸は、ビニールやセロファン紙で包んではいけません。

ビニールやセロファンを巻くと絹糸が通気性が無くなり、カビがはえることがあります。
釜糸は、素材が絹であることは、着物や帯と同じです。しばらく着ないからといって、着物や帯をビニールやセロファン紙で包みませんし、プラスチックの箱には保管しません。

高温多湿の日本では、着物や帯は通気性があって湿度を保てる桐の箪笥にしまいます。
釜糸も同様に扱わなければなりません。もしも釜糸を入れた紙箱を桐の箪笥にしまえる余裕があれば、それが最適です。



京都の伝統工芸士の方で、紙管を保管する際に紙管に巻いた絹糸が、箱に触れない状態で保管するように特別な箱を作って丁寧に保管していらっしゃる方もおられます。
絹糸というデリケートな素材は、正しく保管して長く綺麗なまま使えるようにしましょう。

2013年7月6日土曜日

ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡

墨田区両国の江戸東京博物館で715日まで開催しています。

ファインバーグ・コレクションは、米国屈指の日本美術コレクターであるファインバーグ夫妻が蒐集した江戸絵画を中心とする、日本美術のコレクションです。この展覧会が、日本での初めてのまとまった形の展示になります。


俵屋宗達、酒井抱一、鈴木其一、池大雅、谷文晁、円山応挙、伊藤若冲、葛飾北斎、等々、多彩な作品が約90点並びます。ゆったりしたスペースなので、ゆっくり鑑賞することができます。江戸東京博物館の後は、MIHO  MUSEUM ( 滋賀・甲賀市 )、鳥取県立博物館 (鳥取市 )、へ巡回します。

今回は、特別展を紹介しましたが、江戸東京博物館は常設展示もとても面白い博物館で、千葉県佐倉市にある国立歴史民族博物館と並んで私の好きな博物館です。
5階と6階が吹き抜けになった大きな展示室の入口には、実物大に復元したお江戸日本橋を渡って入って行きます。江戸の歌舞伎の建物や、江戸の街の民家、お店の復元原寸大模型など、江戸時代に戻ったような感覚で楽しめます。
縮尺模型もどれも素晴らしく、江戸の街を見渡すようで一日飽きずに楽しんでいます。
楽しく江戸時代そして文明開化の東京へとタイムスリップします。

常設展示と特別展と合わせて、ずっと楽しめる博物館です。

2013年6月2日日曜日

ミュシャ展~パリの夢モラヴィアの祈りの続報

前回、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催された「ミュシャ展~パリの夢モラヴィアの祈り」展をご紹介しました。
同展は大盛況のうちに519日に閉幕しましたが、この展覧会は巡回展ですので東京で見逃がした方でも、他の美術館でご覧になれます。

巡回展情報は次の通りです。東京ではゴールデンウィークと重なり多くの人出でしたが、他の美術館ではもう少しゆっくりと見ることができると思います。
  • 新潟県立万代島美術館 61()~811()
  • 愛媛県美術館 1026()201415()
  • 宮城県美術館 2014118()323()
  • 北海道立近代美術館 201445()615()

美しく輝く「蜘蛛の糸」

「蜘蛛の糸」といっても芥川龍之介の小説ではありません。

文字通り糸を出す動物の蜘蛛が作る糸です。そのクモの糸を人工的に作り、その量産技術の開発に世界で初めて日本の山形のバイオベンチャー企業が成功したというニュースが報道されました。

ニュースでは、合成クモ糸で織った生地で作られた青色のドレスが紹介されていましたが、美しい輝くその生地は本当に素敵でした。生地には非常に強い光沢があり、装飾品が無くても生地自体が光を反射して輝いています。

人工合成のクモ糸といっても、成分や特性は自然界の虫のクモの糸と同じで、高い強度と伸縮性があります。そのため、自動車や医療などあらゆる産業で利用でき、石油由来の製品よりも廃棄処分が簡単とのことです。これもバイオ技術で作られるものだそうです。

クモは共食いをするので人工飼育ができないため、自然界のクモの糸を集めるのは非常に大変で、これまで蜘蛛の糸を作った生地は特殊な展示用の超高級品以外は作られていませんでした。
それが技術の力で量産可能になったのは凄いことです。

糸を出す動物には、クモの他にも身近なものにカイコがいます。カイコが身近というよりも、カイコの糸から作られる絹地や釜糸が、日本刺繍には無くてはならないものです。
カイコを人工飼育をして糸を取り出し、数千年前から美しく「絹」を作り出してきた先人にも、ニュースを見てあらためて感謝しました。糸を提供してくれるカイコという生き物にも感謝です。



2013年5月19日日曜日

龍村美術織物創業120年記念展

「龍村美術織物創業120年記念展」が、大阪、京都、東京と巡回して、5月24日(金)~6月4日(金)まで高島屋横浜店で開催されます。

龍村美術織物は京都で創業され、120年続いている織物会社です。「龍村美術織物」の「美術」という文字があらわすように、初代龍村平藏「芸術の域」まで織物を高めたと言われています。初代龍村平藏は、ジャガード織機で織物が機械化された時に、「図案の良し悪しが制作を左右する。ならば、優れた図案家を育成しよう。」と決意されたそうです。その当時は前例がありませんでしたが、美術工芸学校に出向き、卒業生を採用して若手デザイナーを育成していきます。
そして、高い水準を保持する図案が次々と生み出されていきました。

また、「創作のためには染織の歴史や古代裂の研究が不可欠である。」と、復元にも力を注ぎました。その流れは現在の4代目まで受け継がれています。各時代の代表作が300点も展示されています。

以前、龍村美術織物の生地で作った名刺入れを知人から頂き、今も愛用しています。色だけ見ると奈良、平安を思い浮かべますが、柄は斬新で不思議な魅力があります。

ゆっくりと見たい美術展です。

Fashion Pressが紹介する「龍村美術織物創業120年記念展」はこちら

龍村美術織物のWeb美術館

「龍村美術織物」のホームページはこちら

2013年5月18日土曜日

山口晃展

「山口晃展」が横浜そごう美術館で開催中で、5月19日が最終日です。
日本を代表する現代美術の画家の一人というと、「現代美術 = 訳がわからない」となりそうですが、山口晃の絵画はわかります。

わかります、とうより見て楽しくおもしろいです。
メトロポリタン美術館の日本美術キュレーターの方が寄稿されているのですが、超絶的技法で描かれた世界は洋の東西を問わず見る人を魅了するということは、見てすぐに分かると思います。

油絵や立体作品だけでなく、挿絵も制作されていますが、ドナルド・キーン作「私と20世紀のクロニクル」の挿絵が展示されています。おしゃれで、また当時の香がたたよう素敵な絵でした。

2013年5月17日金曜日

「源氏絵と伊勢絵」

 「源氏絵と伊勢絵」は、東京丸の内、出光美術館で開催しています。
桃山時代の源氏絵の代表絵師、土佐光吉 生誕400年に合わせての展覧会です。

 「源氏物語」の誕生の背景として、「伊勢物語」が発想を与えたといわれていますが、どうしても「源氏物語」の方に目が行ってしまっていました。「伊勢物語」は、学生時代に「さわり」を少し読んだくらいで、ざっとでも全体に目を通したことがありませんでした。
長い物語をいきなり全部という訳にもいかないので、まずはコミック本から読もうと思いました。日本のアニメ・コミックは内容、質ともに凄いです。

ちなみに、源氏物語は小泉吉宏著「大掴源氏物語 まろ、ん?」  (おおづかみ・げんじものがたり) がお勧めです。栗の顔をした「まろ」が主人公の光源氏になっているコミックですが、あらすじをきちんとおさえていて、見ていても面白いですし、早いテンポで楽しむことができます。
一度手に取ってご覧ください。

展覧会には「源氏物語図屏風」が展示されていますが、全54帖を一覧できる迫力があります。
出光美術館前の皇居や日比谷公園は、春の新緑であふれています。


「大掴源氏物語 まろ、ん?」 の案内

紀伊国屋書店Book Web → http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784344001497

Amazon → http://www.amazon.co.jp/%E3%81%BE%E3%82%8D%E3%80%81%E3%82%93-%E2%80%95%E5%A4%A7%E6%8E%B4%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E5%B0%8F%E6%B3%89-%E5%90%89%E5%AE%8F/dp/4344001494


ミュシャ展-パリの夢モラヴィアの祈り

 穏やかな春になって、いろいろな花が咲き乱れるように美術展が開催されています。
町に出かけるのも気持ちが良く、美術館をめぐる足取りも軽くなります。

「ミュシャ展」「源氏絵と伊勢絵」「山口晃展」の3展覧会は、ブログに載せるのが遅くなってしまったため、開催が19日までですが、どれも素敵な展覧会です。週末に時間がある方は足を運んでみてください。

「ミュシャ展」は六本木ヒルズ52階、森アーツセンター・ギャラリーで開催しています。ミュシャのグラフィック・アーティストとしてのポスターは画集で見ても美しく華やかですが、展覧会ではその大きさにいつも圧倒されます。やはり実物は大きくて、そしてスゴイ!
バリの街に溶け込みみながら、でもその美しさを輝かせて貼られていたポスターをかこむ風景を思い浮かべます。ミュシャの絵が印刷された箱はどれも欲しいと思うものばかりです。

ミュシャは様々なモノをスケッチして、それをデザインし、誰もが使えるように装飾資料集を出版しています。その装飾資料集を使えば、ミュシャ風のデザインで下絵を書くことができます。
しかし、その前段階のスケッチが、素晴らしいというかスゴクて、図鑑のための絵のように細密な絵を色々な方向から描いています。

このような実物の観察やスケッチができてこそ、デザイン化された装飾を描くことができたことを再認識させられました。六本木ヒルズも、色々な春の花で飾られていて、それも目を楽しませてくれます。

2013年5月7日火曜日

111年前に出版された最初の日本刺繍の本


 日本刺繍の技術を初めて本にして発行されたのは、明治35年12月に富田たか子さんが書かれた東京女子刺繍学校発行の教科書「刺繍教科書 全」です。
それがなんと! その本を最近私の刺繍教室の生徒さんがご自宅の書架を整理された時に見つけられ、参考にと頂戴いたしました。様々な学校や女学校が設立され、明治時代の方々が苦心して学問や技術を広めるために日本で初めて著述した沢山の本がありますが、日本刺繍の世界でも書物が全くなく苦心して書かれたものです。

 まだ活版印刷が一般化する前だったのでしょう。木版に文字と図を彫って刷られたA5サイズの全部で100ページ弱の和紙で作られた和綴じの本です。私が小学校の頃に買った川端康成の小説の文庫本は全て黄色く変色しきってしまっていますが、和紙はあまり変色がなく、木版の文字も非常に達筆で、日本の技術は本当に凄いものだと改めて感じます。
 また、何も参考にする書物が無い中で本をまとめあげるのは、どれほど大変だったか想像に余りあります。

この本は、国立国会図書館のデジタル資料でインターネット上でどなたでもが参照することができます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848700

道具などの用意から始まって、日本刺繍の姿勢、針の持ち方から縫い方の技術、鳥や花の縫い方の説明等、当時の最大限の意を用いて図と共にわかり易く書いています。

多くの人のために気概と情熱を持って書かれた渾身の一冊の本です。先人の日本刺繍を広めるための努力に感謝するとともに、私も微力ながら日本刺繍の技術をお伝えしていきたいと思います。



2013年5月6日月曜日

キャンバスバック - 刺繍台の持ち運びに便利なバック

日本刺繍台を家と教室の行き帰りに運ぶ時のバックについても、多くの生徒さんから質問を頂きます。70cm × 50cm × 10cm 位の寸法の大きな物を入れる袋を普段は使うことがないからだと思います。

自分で袋を縫われる方も、既製品を購入される方もいらっしゃいます。私は以前からキャンバス・バックを使っています。

油絵や水彩画を書くためのキャンバス(カンバスと書くこともある)を持って歩くためのバックがキャンバス・バックですが、耐水性があって雨の日も持ち運び可能で、軽いので便利です。
キャンバス・バックは画材店 (絵画の材料、道具を打っているお店)で購入できますが、キャンバス・バックの他にもパネル・パック、カルトンバックがあり、同様に大きな画材を入れるための軽い耐水性のあるバックです。Amazon等の通販でも購入できます。

日本刺繍台の大きさにも何種類かあるので、刺繍台が入る大きさのバックを選んでください。
私の日本刺繍教室で使っている日本刺繍台にぴったりなのは、キャンバス・バックのF20というサイズなので、それをご紹介しています。

キャンバス・バック
下の写真の青いバックは知人に作って頂いたもので、電車等の乗り物で移動する時に運びやすいように縦型になっています。高さ85cm x 幅55cmで 日本刺繍台を入れて肩から下げることができます。ただし身長の低い方で、台を縦には持てないという方もいらっしゃいます。ご自分の持ちやすいバックをお選びください。

縦型のバック








サイドテーブル - 自宅で日本刺繍をする時に便利な道具

椅子に座って日本刺繍をする場合、テーブルとテーブルの間に刺繍台を渡すか、椅子用の高さのある馬を使います。  (馬については前回のブログをご覧ください。)
足や膝が痛くて正座しにくい場合は、やはり椅子が楽ですが、刺繍を調整しやすい高さ調整が大事です。

日本刺繍教室の生徒さんは、自宅での椅子での作業をそれぞれ工夫しています。ご自宅の机、大きな箱などご自宅で作業をするのにちょうど良い、刺しやすい高さになるものを選んでいらっしゃいます。

私は自宅では畳で刺繍をする時は馬を使い、椅子に座って刺す時はベッドサイドテーブルを使っています。最初は机とベッドサイドテーブルの間に台を置いていました。ライトを左側から照らして刺繍をすると夜の作業もそれほど目が疲れません。サイドテーブルは、高さの調整が自由にできるものを選ぶと、簡単に机にあった状態にすることができますし、材料や本を置くこともできます。

机の上に刺繍台を置くと微妙に高くなりすぎるので、今は自由に高さの調整できるベッドサイドテーブル二つの間に刺繍台を渡し、自由に高さの調整できる椅子に座って作業をしています。ちょうど良い高さにできるので、姿勢をきちんとできますし、とても楽です。

ベッドサイドテーブルの例

馬 - 自宅で日本刺繍をする時に便利な道具

春から日本刺繍を習い始めた方々から、私の日本刺繍教室以外ででもメールや電話で質問を受けています。
刺し方から道具まで内容は様々ですが、最初は道具に関する質問を多く受けます。
長い間、日本刺繍を制作していると、当たり前に使っている道具ですが、日本刺繍独特の道具なので最初はとまどうことも多いのかもしれません。
そこで、質問の中から少しづつでもブログに書いていきたいと思います。

「馬(うま)」は、刺繍をする時に刺繍台を乗せて使う道具です。
ご自宅で畳に座って使う正座用と、椅子に座って使う高さの高い椅子用の2種類があります。

刺繍教室で使う刺繍台には、台の溝に直接差し込んだり、引き抜いたりして付けはずしができる足が4本ついています。
ですが、運ぶ時や台を片づける時など、頻繁に抜き差しを繰り返していると、どうしてもゆるくなり、安定しなくなります。その点「馬」は片づけるのも楽で、台も痛めません。

教室では会議室用の机を使って台を机の間に渡して、椅子に座って刺繍をしていますが、自宅でそれだけのスペースや机を用意するのは大変です。
便利な道具なので、生徒さんには「馬」は紹介し、希望される教室の生徒さんには取り寄せています。

下の写真は正座用の馬です。足や膝の痛みがあって正座できない方には、高さの高い椅子用の馬がおすすめです。
足の高い椅子用の馬の代わりにサイド・テーブルを使うこともできます。それは次回ご紹介します。

馬に刺繍台を乗せた様子

2013年3月14日木曜日

ミュージアム・ショップ


今では、ほとんどの美術館や博物館に個性的なオリジナル品を揃えたミュージアムショップが併設されていて、展覧会を見るのと同じように、ショップを見るのも楽しみの一つです。

サントリー美術館にも「shop × cafe」のスペースがあって、館蔵品をモチーフにしたオリジナル商品の他に、様々なアイテムが揃っています。その中で、書籍やカタログも楽しいもの、美しいものが多くあります。今日紹介する本は2冊もサントリー美術館から発行されたものです。

一冊目は「おもしろびじゅつ帖豆本」です。
これは、手のひらサイズのハンドブックで、サントリー美術館の約3千件のコレクションから名品を選りすぐり、分かりやすく紹介しています。「おもしろびじゅつ帖豆本」は¥500のワンコイン価格ですが「ヘェ~」と思わず唸るような内容です。例えば「屏風の巻」では、「屏風ってなあに」から始まって、超一流の作品のわかりやすい作品解説が続き、屏風の構造もわかりやすく書いてあります。
漢字には、フリガナがふってあるので、日本美術品の難しい品名も難なく読めます。附録もついています。

この本はサントリー美術館の次世代に向けての教育普及活動の一環で作られました。
他の美術館からも図録とは別に、このような分かりやすく楽しいハンドブックが出て欲しいと思いました。



もう一冊は「鼠草子」の絵本です。これは数百年前に書かれた「鼠草子絵巻」という絵物語を、ことばを現代語訳にして、漫画風の吹き出しをつけてわかりやすくし、絵の中のことばである画中詞にも解説が書かれた絵本です。
鼠が人間に化けて清水寺で出会った美しい姫と結婚するけれど、正体がばれて姫は去り、悲しくて出家するというお話です。御伽草子(おとぎぞうし)の一つですが、主人公や登場人物達が喜んだり悲しんだり、畏まったり、お酒を飲んだり。人の心は今も昔も変わりません。昔の人は、こうして絵巻を楽しんだのかなと思いながら、同じように楽しめる本です。絵と文字で物語を楽しむのは、現代のマンガと同じです。

MUSEUM  SHOPは本当に楽しいものや本が見つかるところです。




2013年2月11日月曜日

葛飾北斎と武志伊八郎伸由


 アメリカのライフ誌が過去1000年の世界の文明に影響を与えた偉大な人物100人を選んだとき、日本人としてただ一人選ばれたのが葛飾北斎でした。

ヨーロッパの絵画・音楽などの芸術家に多大な衝撃と影響を与えたことは衆知の事実です。その作品群の中でも、特に「神奈川沖浪裏」は有名です。
大胆な構図はもちろんですが、私はカメラやビデオなどの映像技術が無い当時に、あれだけ浪の一瞬を表現できたことに感動していました。

その北斎の波の表現の土台に、武志伊八郎伸由がいたであろうことをあるとき知りました。浪を彫っては当代一と称され「波の伊八」と呼ばれた彼の作品は、百カ所余りの寺社に残っています。写真で見るだけでもすばらしいです。

私は千葉県に住んでいるのですが、千葉県いすみ市でも拝見できるそうなので、行きたいと思います。「いすみ鉄道」を盛り上げるために、以前JRで「波の伊八見学コース」もありました。
機会があれば行ってみたい千葉県の名所です。

あっぱれ北斎!光の王国展


あっぱれ北斎!光の王国展  201311日から331日までフェルメール・センター銀座で開催されています。
北斎の冨嶽三十六景、諸国瀧廻りの全作品を最新のデジタル技術で、180年前の色彩を再創造して、拡大版と原寸版に再現した展覧会です。

新年の「めでたさ」もあってか、北斎は1月から美術番組でたびたび取り上げられていました。私も北斎の大胆な構図やベロ藍の美しい青などが好きなので、楽しみにしている展覧会です。

しかし、彫り師の方が「北斎の線」と呼んで細部に渡って気を配っている、あの勢いのある独特な鋭い線は、刺繍で表現することはとても難しく、北斎の作品を模写して刺繍するのは手をつけられませんでした。あの線は刀で彫られ表現したときに生きる線描写なのでしょう。

最近の美術展の音声ガイドは単に作品解説だけでなく、楽しい工夫がされています。「光の王国展」では、小林薫と宮沢りえが北斎父娘に扮してガイドしているそうなので、それもまた、楽しみの一つです。