2013年5月19日日曜日

龍村美術織物創業120年記念展

「龍村美術織物創業120年記念展」が、大阪、京都、東京と巡回して、5月24日(金)~6月4日(金)まで高島屋横浜店で開催されます。

龍村美術織物は京都で創業され、120年続いている織物会社です。「龍村美術織物」の「美術」という文字があらわすように、初代龍村平藏「芸術の域」まで織物を高めたと言われています。初代龍村平藏は、ジャガード織機で織物が機械化された時に、「図案の良し悪しが制作を左右する。ならば、優れた図案家を育成しよう。」と決意されたそうです。その当時は前例がありませんでしたが、美術工芸学校に出向き、卒業生を採用して若手デザイナーを育成していきます。
そして、高い水準を保持する図案が次々と生み出されていきました。

また、「創作のためには染織の歴史や古代裂の研究が不可欠である。」と、復元にも力を注ぎました。その流れは現在の4代目まで受け継がれています。各時代の代表作が300点も展示されています。

以前、龍村美術織物の生地で作った名刺入れを知人から頂き、今も愛用しています。色だけ見ると奈良、平安を思い浮かべますが、柄は斬新で不思議な魅力があります。

ゆっくりと見たい美術展です。

Fashion Pressが紹介する「龍村美術織物創業120年記念展」はこちら

龍村美術織物のWeb美術館

「龍村美術織物」のホームページはこちら

2013年5月18日土曜日

山口晃展

「山口晃展」が横浜そごう美術館で開催中で、5月19日が最終日です。
日本を代表する現代美術の画家の一人というと、「現代美術 = 訳がわからない」となりそうですが、山口晃の絵画はわかります。

わかります、とうより見て楽しくおもしろいです。
メトロポリタン美術館の日本美術キュレーターの方が寄稿されているのですが、超絶的技法で描かれた世界は洋の東西を問わず見る人を魅了するということは、見てすぐに分かると思います。

油絵や立体作品だけでなく、挿絵も制作されていますが、ドナルド・キーン作「私と20世紀のクロニクル」の挿絵が展示されています。おしゃれで、また当時の香がたたよう素敵な絵でした。

2013年5月17日金曜日

「源氏絵と伊勢絵」

 「源氏絵と伊勢絵」は、東京丸の内、出光美術館で開催しています。
桃山時代の源氏絵の代表絵師、土佐光吉 生誕400年に合わせての展覧会です。

 「源氏物語」の誕生の背景として、「伊勢物語」が発想を与えたといわれていますが、どうしても「源氏物語」の方に目が行ってしまっていました。「伊勢物語」は、学生時代に「さわり」を少し読んだくらいで、ざっとでも全体に目を通したことがありませんでした。
長い物語をいきなり全部という訳にもいかないので、まずはコミック本から読もうと思いました。日本のアニメ・コミックは内容、質ともに凄いです。

ちなみに、源氏物語は小泉吉宏著「大掴源氏物語 まろ、ん?」  (おおづかみ・げんじものがたり) がお勧めです。栗の顔をした「まろ」が主人公の光源氏になっているコミックですが、あらすじをきちんとおさえていて、見ていても面白いですし、早いテンポで楽しむことができます。
一度手に取ってご覧ください。

展覧会には「源氏物語図屏風」が展示されていますが、全54帖を一覧できる迫力があります。
出光美術館前の皇居や日比谷公園は、春の新緑であふれています。


「大掴源氏物語 まろ、ん?」 の案内

紀伊国屋書店Book Web → http://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784344001497

Amazon → http://www.amazon.co.jp/%E3%81%BE%E3%82%8D%E3%80%81%E3%82%93-%E2%80%95%E5%A4%A7%E6%8E%B4%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E5%B0%8F%E6%B3%89-%E5%90%89%E5%AE%8F/dp/4344001494


ミュシャ展-パリの夢モラヴィアの祈り

 穏やかな春になって、いろいろな花が咲き乱れるように美術展が開催されています。
町に出かけるのも気持ちが良く、美術館をめぐる足取りも軽くなります。

「ミュシャ展」「源氏絵と伊勢絵」「山口晃展」の3展覧会は、ブログに載せるのが遅くなってしまったため、開催が19日までですが、どれも素敵な展覧会です。週末に時間がある方は足を運んでみてください。

「ミュシャ展」は六本木ヒルズ52階、森アーツセンター・ギャラリーで開催しています。ミュシャのグラフィック・アーティストとしてのポスターは画集で見ても美しく華やかですが、展覧会ではその大きさにいつも圧倒されます。やはり実物は大きくて、そしてスゴイ!
バリの街に溶け込みみながら、でもその美しさを輝かせて貼られていたポスターをかこむ風景を思い浮かべます。ミュシャの絵が印刷された箱はどれも欲しいと思うものばかりです。

ミュシャは様々なモノをスケッチして、それをデザインし、誰もが使えるように装飾資料集を出版しています。その装飾資料集を使えば、ミュシャ風のデザインで下絵を書くことができます。
しかし、その前段階のスケッチが、素晴らしいというかスゴクて、図鑑のための絵のように細密な絵を色々な方向から描いています。

このような実物の観察やスケッチができてこそ、デザイン化された装飾を描くことができたことを再認識させられました。六本木ヒルズも、色々な春の花で飾られていて、それも目を楽しませてくれます。

2013年5月7日火曜日

111年前に出版された最初の日本刺繍の本


 日本刺繍の技術を初めて本にして発行されたのは、明治35年12月に富田たか子さんが書かれた東京女子刺繍学校発行の教科書「刺繍教科書 全」です。
それがなんと! その本を最近私の刺繍教室の生徒さんがご自宅の書架を整理された時に見つけられ、参考にと頂戴いたしました。様々な学校や女学校が設立され、明治時代の方々が苦心して学問や技術を広めるために日本で初めて著述した沢山の本がありますが、日本刺繍の世界でも書物が全くなく苦心して書かれたものです。

 まだ活版印刷が一般化する前だったのでしょう。木版に文字と図を彫って刷られたA5サイズの全部で100ページ弱の和紙で作られた和綴じの本です。私が小学校の頃に買った川端康成の小説の文庫本は全て黄色く変色しきってしまっていますが、和紙はあまり変色がなく、木版の文字も非常に達筆で、日本の技術は本当に凄いものだと改めて感じます。
 また、何も参考にする書物が無い中で本をまとめあげるのは、どれほど大変だったか想像に余りあります。

この本は、国立国会図書館のデジタル資料でインターネット上でどなたでもが参照することができます。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/848700

道具などの用意から始まって、日本刺繍の姿勢、針の持ち方から縫い方の技術、鳥や花の縫い方の説明等、当時の最大限の意を用いて図と共にわかり易く書いています。

多くの人のために気概と情熱を持って書かれた渾身の一冊の本です。先人の日本刺繍を広めるための努力に感謝するとともに、私も微力ながら日本刺繍の技術をお伝えしていきたいと思います。



2013年5月6日月曜日

キャンバスバック - 刺繍台の持ち運びに便利なバック

日本刺繍台を家と教室の行き帰りに運ぶ時のバックについても、多くの生徒さんから質問を頂きます。70cm × 50cm × 10cm 位の寸法の大きな物を入れる袋を普段は使うことがないからだと思います。

自分で袋を縫われる方も、既製品を購入される方もいらっしゃいます。私は以前からキャンバス・バックを使っています。

油絵や水彩画を書くためのキャンバス(カンバスと書くこともある)を持って歩くためのバックがキャンバス・バックですが、耐水性があって雨の日も持ち運び可能で、軽いので便利です。
キャンバス・バックは画材店 (絵画の材料、道具を打っているお店)で購入できますが、キャンバス・バックの他にもパネル・パック、カルトンバックがあり、同様に大きな画材を入れるための軽い耐水性のあるバックです。Amazon等の通販でも購入できます。

日本刺繍台の大きさにも何種類かあるので、刺繍台が入る大きさのバックを選んでください。
私の日本刺繍教室で使っている日本刺繍台にぴったりなのは、キャンバス・バックのF20というサイズなので、それをご紹介しています。

キャンバス・バック
下の写真の青いバックは知人に作って頂いたもので、電車等の乗り物で移動する時に運びやすいように縦型になっています。高さ85cm x 幅55cmで 日本刺繍台を入れて肩から下げることができます。ただし身長の低い方で、台を縦には持てないという方もいらっしゃいます。ご自分の持ちやすいバックをお選びください。

縦型のバック








サイドテーブル - 自宅で日本刺繍をする時に便利な道具

椅子に座って日本刺繍をする場合、テーブルとテーブルの間に刺繍台を渡すか、椅子用の高さのある馬を使います。  (馬については前回のブログをご覧ください。)
足や膝が痛くて正座しにくい場合は、やはり椅子が楽ですが、刺繍を調整しやすい高さ調整が大事です。

日本刺繍教室の生徒さんは、自宅での椅子での作業をそれぞれ工夫しています。ご自宅の机、大きな箱などご自宅で作業をするのにちょうど良い、刺しやすい高さになるものを選んでいらっしゃいます。

私は自宅では畳で刺繍をする時は馬を使い、椅子に座って刺す時はベッドサイドテーブルを使っています。最初は机とベッドサイドテーブルの間に台を置いていました。ライトを左側から照らして刺繍をすると夜の作業もそれほど目が疲れません。サイドテーブルは、高さの調整が自由にできるものを選ぶと、簡単に机にあった状態にすることができますし、材料や本を置くこともできます。

机の上に刺繍台を置くと微妙に高くなりすぎるので、今は自由に高さの調整できるベッドサイドテーブル二つの間に刺繍台を渡し、自由に高さの調整できる椅子に座って作業をしています。ちょうど良い高さにできるので、姿勢をきちんとできますし、とても楽です。

ベッドサイドテーブルの例

馬 - 自宅で日本刺繍をする時に便利な道具

春から日本刺繍を習い始めた方々から、私の日本刺繍教室以外ででもメールや電話で質問を受けています。
刺し方から道具まで内容は様々ですが、最初は道具に関する質問を多く受けます。
長い間、日本刺繍を制作していると、当たり前に使っている道具ですが、日本刺繍独特の道具なので最初はとまどうことも多いのかもしれません。
そこで、質問の中から少しづつでもブログに書いていきたいと思います。

「馬(うま)」は、刺繍をする時に刺繍台を乗せて使う道具です。
ご自宅で畳に座って使う正座用と、椅子に座って使う高さの高い椅子用の2種類があります。

刺繍教室で使う刺繍台には、台の溝に直接差し込んだり、引き抜いたりして付けはずしができる足が4本ついています。
ですが、運ぶ時や台を片づける時など、頻繁に抜き差しを繰り返していると、どうしてもゆるくなり、安定しなくなります。その点「馬」は片づけるのも楽で、台も痛めません。

教室では会議室用の机を使って台を机の間に渡して、椅子に座って刺繍をしていますが、自宅でそれだけのスペースや机を用意するのは大変です。
便利な道具なので、生徒さんには「馬」は紹介し、希望される教室の生徒さんには取り寄せています。

下の写真は正座用の馬です。足や膝の痛みがあって正座できない方には、高さの高い椅子用の馬がおすすめです。
足の高い椅子用の馬の代わりにサイド・テーブルを使うこともできます。それは次回ご紹介します。

馬に刺繍台を乗せた様子