2015年1月18日日曜日

「かえで」のデザイン

   生徒さんが、女の子のお孫さんにお祝いで作品を作ってあげたいというご依頼がありました。
名前にちなんで「かえで」を主体とした作品にしたいということでした。こちらから色々ご提案させて頂きましたが、楓(かえで)で薬玉を作ることにしました。

 生徒さんのご希望では、楓があくまで主役なので花は一切入れてほしくないということでした。
そこで、楓とアクセントになるように、縁起の良い「松葉」と可愛らしさを出すために「松ぼっくり」を添えました。薬玉には細い紐がたくさん着くのですが、帯紐のような太い紐にしたいというご要望でしたので、竜田川をイメージした流れのある紐を添えました。
 また、楓の種は竹とんぼのような形をしていて、色も大変可愛らしいのでデザインに加えました。
 お孫さんにとって祖母からの大切な贈り物になって欲しいと願います。完成したら作品をご紹介したいと思います。

 楓は古来からある文様で、私も数多く刺繍してきましたが、植物学的にどういうものなのかきちんと調べた事がなかったので、この機会に調べてみました。

植物学的には「もみじ」は「かえで」の一種で、「かえで」はカエデ科カエデ属の植物です。
植物 図鑑をひいてみると、本当に沢山の種類があります。インターネットで見られる場所では、
Hajime HAYASHIDAさんの「カエデともみじ」というサイトがとても詳しく色々紹介していらっしゃいます。上記サイトのかえでの葉の写真はこちら。

 「かえで」とよく似た葉の木でマンサク科フウ属の「ふう(楓)」があります。かえでと同じように紅葉するので、「ふう (楓)」を見て、「かえで」や「もみじ」と思っていたかもしれませんが、種の形がかえでとは全く異なっていて、丸くてトゲトゲがたくさんあります。
 「かえで」は日本古来の植物ですが、「ふう」は1700年以降の外来植物です。


 かえでの図案を描き起こしたのですが、図案作成も色々注意しないとなりません。図案のアイデアスケッチは手で書きますが、仕上げはパソコンを使います。パソコンではどんな線でも描けますが、文様の重なりやその隙間を刺繍をすることを考えながら調整しなければなりません。刺繍の技法を理解したうえで、刺し方を考えながらデザイ ンを調整しないと、意味なく難しくなってしまうからです。少しでも良い図案をデザインしていきたいと思います。
 
かえでの実




2015年1月12日月曜日

川瀬巴水 - 郷愁の日本風景

 東京日本橋高島屋で1/12まで開催していた「川瀬巴水  郷愁の日本風景」の展覧会を見てきました。NHK日曜 美術館でも放映されていたので、展覧会終了前日で非常に混雑していました。

 「川瀬巴水は、大正から昭和にかけて風景の版画作品を制作し、展覧会のサブタイトルの「郷愁の日本風景」がぴったりとする、懐かしい一昔前の日本の風景を見ることができました。夕焼が広がる空の美しさ、夜の灯りがともる街の風景、懐かしいとともに無くしてしまった日本の美しさが切なく感じられます。

 風景版画としては、 江戸時代の歌川広重、明治時代の小林清親に並び称される川瀬巴水ですが、やはり版画技術の進化によって、江戸時代の浮世絵にはなかった繊細な色のグラデーションが表現されています。夕焼けの色が夜の濃紺に変わっていく微妙な美しさがとても印象的でした。展覧会では多色刷りの版をビデオで放映していましたが、42種類もの版で制作されているそうです。

 下のチケットに印刷されているのは、東京日本橋の橋の夜明けの版画です。昭和15年、首都高速道路が日本橋の橋を覆ってしまう前の、東京の空がまだ広かった時代の風景です。

 展覧会の図版が売り切れてしまう位盛況だったので、後から増刷したものを送ってもらうようにしました。図版が届くのが楽しみな、そんな展覧会でした。

展覧会チケットより